歯を失ってしまった場合の治療方法にはどんなものがあるのかをおおまかに説明いたします。
欠損を補う方法
残念ながら歯を失って(失うことになって)しまった場合には大きく分けると
・バネの入れ歯
・ブリッジ
・インプラント
の3つの方法があります。
バネの入れ歯
残っている歯にバネをかけて取り外しの歯をつけます。
メリット
・あまり歯を削らずに欠損を補える
・取り外しできるので清掃が楽
デメリット
・咀嚼効率は天然歯の5分の1程度
→入れ歯の部分で咬むより残っている歯で咬む方が咬みやすいので結局は残っている歯の負担になる
・取り外し式
・バネの見た目
・失ってしまった歯の負担していた分を今度はバネをかけた歯と歯肉に負担させる(バネをかけた歯の寿命を縮めてしまう、咬合力を負担した歯肉があたって痛くなる)
ブリッジ
失ってしまった部分の周りの歯を被せられるように削ってかぶせ物で橋渡しします。
メリット
・固定性なので咀嚼効率を天然歯同等に回復できる
デメリット
・土台となる歯を削らないといけない
・失ってしまった歯の負担していた分を今度は支えとなる歯に負担させる(土台となる歯の寿命を縮めてしまう)
・土台となる歯が使えなくなった時は欠損が拡大する(入れ歯になる可能性が高い)
インプラント
失ってしまった部分に人工の根っこを作って歯を作ります。
メリット
・咀嚼効率を天然歯同等に回復できる
・天然の歯と同じ根っこがあって歯がある構造でその場所だけで完結させる事ができ、他の歯に負担をかけない(欠損の拡大を予防する)
デメリット
・治療費用が高額
金額だけに注目してしまうと高いと思ってしまうかもしれませんが、失ってしまった歯を人工的ではありますがもう1度再生して他の歯に負担をかけずに咬めるようになる価値はかけがえのないものです。
・埋入処置が必要
インプラントというと手術?怖い?というイメージをお持ちの方もいるかと思いますが実際には抜歯するくらいの負担で、アポイントの時間は麻酔、歯の清掃、術前の記録等含めてトータルで1~2時間とらせてもらってますがインプラントの埋入自体は30分もかかりません。
インプラントを入れる時も局所麻酔をするので痛みはありません。
終わった後は抜歯した後と同じ薬を飲んで治りを待ちます。
抜歯した後と同じで初期は2、3日くらいかけてだんだん落ち着いてくるイメージです。
・骨とくっつかない場合がある
インプラントは体がチタンに対して反応しずらい性質と骨とくっつく性質を利用して人工の歯根を作る治療です。チタンは体からしてみると本当は異物なので1度異物だと認識されてしまうと3ヶ月の待機期間を待ってもくっつかない場合があります。
その場合は状況によりインプラントをあきらめる、もしくは治りを待って再度埋入する事になります。
その際は返金制度を設けてあります。
・インプラントが適用できない場合がある
とても良い治療の選択肢ではありますが全身的な疾患の状況や骨の量が足りない場合など可能となる場合が限られてしまう治療法です。
主なインプラントが適用出来ない状態
・骨の長さ、または幅が足りない(物理的にインプラントを入れられる場所がない)
・中~重度の歯周病
・骨粗鬆症の治療
・血液をサラサラにする薬を服用
・腎透析を行っている
・中~重度の糖尿病 等
インプラントが適用とならない場合には他の方法でベストな選択肢を話し合いながら決めていくようにしています。
欠損を拡大させない
歯がなくなってしまった場合、その歯の負担していた分を他の歯に負担してもらわないといけなくなります。
そうすると負担の増えた歯はやがて咬合力により詰め物、被せ物の脱落、知覚過敏、歯の根元が削れる、歯の破折、歯を揺さぶって歯の支えとなる骨を吸収するなど様々な有害事象を起こし、歯を失う方向へ進んで行き、欠損が拡大していって全部入れ歯に近づいていきます。
なので欠損の少ないうちに他の歯に負担をかけない方法で失くなった歯を回復する事が欠損の拡大の防止になります。
なるべく自分の歯を使う
状況により被せられるレベルまで歯をゴムで牽引すれば良好な予後が期待できる、あるいは抜歯を回避できたり、
使わない親知らずを抜歯しなければならない所に移植出来る場合があります。
状況により判断し、提案させていただいております。
多くの歯がなくなってしまった
多くの歯がなくなってしまった場合は
・入れ歯
・可能であればインプラント
・残っている全ての歯を土台に使い、取り外しの入れ歯で残った歯全てを茶筒のような構造で固定し、力を分散させて残った歯を守り、しっかり咬めるようにするテレスコープ義歯という特殊な入れ歯
という3つの選択肢があります。
入れ歯
インプラント
テレスコープ義歯
多くの欠損を義歯で治療する場合、残った歯を守り長期に義歯を機能させる構造の義歯はテレスコープ義歯以外存在しません。
ただ費用も高額になりますし治療期間も長くなるため選択されない場合は他の方法で治療することになります。
テレスコープ義歯には主にコーヌステレスコープ(コーヌスクローネ)、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープの3種類があります。
この3種類を状況に応じて使い分けることによってどんな状態の口腔内にも適用することが出来ます。
テレスコープ義歯について詳しくはこちら
全部の歯がなくなってしまった
全部の歯がなくなってしまった場合は
・入れ歯
・可能であればインプラントを土台に使った入れ歯
・インプラントを使った半固定性のブリッジ
・最高級総義歯
の4つの方法があります。
入れ歯
吸盤の原理で入れ歯が入ります。
上は覆う部分が多く吸盤の原理が働き比較的くっつきやすいですが、下の全部入れ歯はへの字型で空気が入りやすく基本的には動いてしまうものです。
舌と周囲の粘膜によりおさまっているというイメージです。
よく「上アゴのところは違和感があるから削って下さい」「前の入れ歯はもっと小さかったので前の入れ歯と同じくらい小さく削って下さい」とおっしゃる方がいますが上顎を後ろまで覆っている部分は「上の全部入れ歯の生命線」とも言える場所なのでここを削ってしまうと確実に「落ちる入れ歯」になってしまいます。
また、「小さい入れ歯」がいい入れ歯だと思われる方がいますが歯科医学上ではその逆で「口腔周囲粘膜まで大きく覆って入れ歯のふちを「封鎖」する事で入れ歯の安定が得られる」とされています。
髪の毛一本入っただけでも違和感のある口の中に樹脂の厚みのある入れ歯が入って違和感がある。というのはとてもよくわかりますが、人間には適応能力があり、使っている内に必ず慣れてきますのでまずは「こういうものなんだ」と思って慣らしていく事が大切です。
それでもやはり抵抗があるという場合には小さく削って入れ歯安定剤を使用して使っていくという事になっていきます。
インプラントを土台に使った入れ歯
動いてしまう下の全部入れ歯への対応としてインプラントを何本か埋入し、そこにホックのような装置をつけてパチンとはめ込むタイプの入れ歯があります。
ホックにはめ込むため外れる心配がなく、インプラント部で入れ歯の沈みこみを防止するためインプラント周囲は歯茎が痛むことなく安定して咀嚼を可能にします。
2002年に専門家の会議で「下の全部入れ歯の第一選択は2本のインプラントを土台にした入れ歯」と結論が出されました。(マギルコンセンサス)
https://www.quint-j.co.jp/sp/web/keyword/keyword.php?no=40020
ただ前方2本のインプラントで固定する場合は外れはしないですが義歯の後方が浮き上がるので可能であれば前後左右4本のインプラントで支えるのをおすすめします。
インプラントを使った半固定性のブリッジ
インプラントを全体に必要本数埋入し、半固定性のブリッジにします。
歯が全てなくなっている場合、顎の骨の吸収が進んでいる場合が多く、元の口元のボリュームが出せないので可能な方は限られます。
元の口元のボリュームを回復させたい場合にはピンクのプラスチックの部分を設計に入れる必要があります。
ただ、歯を全部なくすに至るには歯磨き習慣等の生活習慣、逆流性食道炎がある等病的要因などの歯を失ってきた原因、経緯があると思われるためインプラントが長期に機能するのかは疑問に思っています。
吉富歯科医院ではこのようなケースにはブリッジタイプではなく、義歯タイプでの治療をおすすめしています。
最高級総義歯
吉富歯科医院では歯をすべて(あるいはほとんど)失ってしまった方でお金をかけてでもいい入れ歯を入れたいという方のために最高の材料、方法で作製する最善の総義歯作製システムを導入しております。
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